ヨーロッパで最も固い堅焼きビスケット!ベルギー・ディナン名物の「クック・ド・ディナン」

ベルギーの首都・ブリュッセルから100キロほど東南に位置するムーズ川沿いの町・ディナン。ムーズ川が造り上げた断崖絶壁をバックに広がる町並みは唯一無二の風景で、その美しさから「絵のような町」とたたえられています。

そんなディナンの名物が「クック・ド・ディナン」と呼ばれる堅焼きビスケット。なんでも、「ヨーロッパで一番堅いビスケット」と言われているのだとか。

ディナンの町角を歩いていたら、猫や魚、象などをかたどったユニークなビスケットが並ぶパティスリー「ヤコブ(Jacobs)」を発見しました。

お店に入って「これはビスケットですか?」と聞いてみると、「そう見えるけど、違うんですよ。」という答え。

「小麦とはちみつで作ったお菓子で、3ヵ月置いても食べられます。普通のビスケットに比べるととても固いので、噛まずに手でちぎって口の中で少しずつ溶かして食べてください。」と言うではありませんか。いったいどんなものか気になって、猫型のものを購入してみることに。

最後に再び「噛まないでくださいね!」とスタッフに念を押されました。

このディナン名物クック・ド・ディナンの歴史は古く、その起源は、古代ローマ人が好んだライ麦粉にはちみつと羊のチーズなどを加えて作った平たいビスケット。中世になってディナンのパン職人が改良を加えたことで、小麦とはちみつのみで作られるようになったといいます。

15世紀にディナンがブルゴーニュのシャルル勇肝公により包囲されたときには、日持ちのするクック・ド・ディナンが籠城した人々を飢えから救ったのだとか。

このエピソードに加え、バラエティーに富んだ美しいモチーフのおかげで、クック・ド・ディナンはすっかりディナンの名物として有名になりました。

中世の時代にはパン職人自身が木型を作っていましたが、その後木の家具を製作する家具職人が彫るようになり、趣向を凝らしたデザインになったのです。今では動物や果物、花、風景など100種類以上のデザインがあるのだそう。

筆者が購入した猫型のクック・ド・ディナンは、きわめて写実的で木彫りの彫刻のようです。

日本ならば漫画っぽいデザインになりそうですが、クック・ド・ディナンはリアルな表現が特徴で、その芸術的な見た目から、食べずに装飾品としてとっておく人もいるというのも理解できます。

気になる食感とお味はいかに・・・

「堅い、堅い」と言われてはいますが、想像していたような石のような堅さではなく、ねっちりとした湿り気を含んだような堅さ。それほど苦労せずにちぎることができました。

口に運んでみると、もそもそとした食感であまり味がありません。

しかし、そう感じたのは最初のうちだけ。口に入れてから少し時間を置くと、はちみつの優しい甘さが口いっぱいに広がります。小麦粉とはちみつだけのシンプルな材料で、これほど香り高いお菓子が作れるとは!

ひと口、ふた口と、食べ進めるうちに、素朴ながら滋味豊かで奥深い味わいにすっかりはまってしまいます。コーヒーや紅茶に浸してから食べるもよし、口の中で少しずつ溶かしてはちみつの甘みをじっくりと味わうもよし。

ディナンを訪れるなら、噛まずに食べるユニークなビスケット、クック・ド・ディナンを手に入れるのをお忘れなく。

日持ちするうえに、ちょっとやそっとでは割れることもないので、お土産にもぴったりですね。

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「ヤコブ(Jacobs)」
住所:Rue Grande 147,5500 Dinant