「ハイジ」の舞台になった原風景を訪ねて、スイス・マイエンフェルトの「ハイジの道」を歩く

何度もアニメ化、映画化、舞台化され、世代を超えて世界中の人びとに愛される「アルプスの少女ハイジ」。1880年に発表されたヨハンナ・シュピリの名著「ハイジ」の舞台となったのが、スイス東部の小さな村・マイエンフェルトです。

のんびりと草をはむ牛の群れ、風にそよぐブドウ畑・・・原作者のヨハンナ・シュピリは、こうしたマイエンフェルトの風景を散策するなかで「ハイジ」の物語の着想を得たといわれています。

いまや世界中からハイジファンが訪れるマイエンフェルトでは、原作に忠実に再現されたハイジの家をはじめ、ハイジの原風景に出会えるスポットをめぐるウォーキングコース、「ハイジの道」が用意されています。

村周辺の見どころをめぐる赤コースは所要1時間半~2時間と、気軽に挑戦しやすいコース。まずは観光案内所やホテルなどで、ハイジの道の詳細が載っているパンフレットを入手してから歩きはじめましょう。

まずはマイエンフェルト駅から延びるバーンホフ通りにある、ハイジショップからスタートします。

観光案内所も兼ねたこのショップでは、さまざまなハイジグッズやスイスの名物が販売されており、見ているだけでも楽しい気分になれます。

駅前にもかかわらず、すでに険しい山が迫ってくるかのようなダイナミックな風景は、さすがハイジのふるさと。この先の景色がますます楽しみになります。

バーンオフ通りを真っすぐ進むと左に見えてくる細い坂道に入れば、市庁舎などが建つ村の中心。

石畳の道や、壁画で彩られた市庁舎の建物などに、中世の面影が感じられます。

村の中心部を抜けて北西に進んで行くと、ブドウ畑や牧場が広がるのどかな風景が広がっています。牧場のあいだを歩いていると、牛たちの首につけられたベルの「カラカラ」という音が聞こえてきて、まさに思い描いていたスイスのイメージそのもの。

牛たちが草原にたたずむ様子を眺めながら歩いていると、きっとあのテーマソングが自然と口からこぼれてくるはず。

マイエンフェルト駅から歩くことおよそ30分。ようやくマイエンフェルト観光のハイライト「ハイジの村」に到着です。

背後に荒々しい山が迫る広大な敷地に、ハイジの物語が生まれた1880年ごろの村での生活の様子を再現した「ハイジの家」や、夏のあいだハイジが過ごした「おんじの家」を彷彿とさせる「ハイジの山小屋」が建ち、物語そのままの世界に触れることができます。

ハイジの家の2階にある「ハイジの部屋」には、ハイジのものらしき赤いワンピース、隣の部屋にはクララを思い起こさせる車椅子が置かれていて、ハイジファンなら興奮すること間違いなし。今にもハイジたちが出てきそうなほど臨場感たっぷりです。

ハイジの家のそばから眺める、スイスの山と草原の風景は爽快。

敷地内では、ヤギやニワトリも飼われていて、なんとも微笑ましい光景が見られます。日常から切り離されたハイジの村にいると、130年前にタイムスリップしたかのような気分になれるかもしれません。

ハイジの村にもハイジグッズを売るショップがあり、店内の「スイスで一番小さい郵便局」から郵便を出すと、ハイジの絵柄が入ったハイジ村オリジナルの消印を押してもらえますよ。

ハイジ村での滞在を堪能した後は、来た道とは別の道を通って戻ります。帰る途中で必見の見どころが「ハイジの泉」。地元の子どもたちによる募金活動で集められたお金で、1953年に制作されました。

ここから、アルプスの山をバックに広がるブドウ畑のあいだを通り抜けて、スタート地点に戻りましょう。普段あまり歩き慣れていない人には少々骨が折れるかもしれませんが、豊かな自然に囲まれてのウォーキングはまさに心の栄養です。

ハイジの原風景を訪ねる、ハイジの道さんぽ。ハイジのアニメや映画を観たことがある人なら、きっと作品中の場面がよみがえってくるような景色に出会えることでしょう。

日常から離れて、心安らぐノスタルジックな物語の舞台に出かけてみませんか。

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