立ち食い蕎麦マニアが最後にたどり着く絶品の駅そば / 北海道の秘境・音威子府駅にある「常盤軒(ときわけん)」

ハンバーガーや牛丼などのファストフードとして多くの人々から愛されているジャンルの1つと言えば、立ち食い蕎麦。

ひとくちに立ち食い蕎麦といっても、様々なお店が存在している。

例えば、ボリュームたっぷりの蕎麦と濃厚で甘辛なつけ汁がたまらない東京都港区西新橋「そば処港屋」に、あのタモリさんも絶賛する最高の立ち食い蕎麦屋として有名な日本橋「そばよし」名物のゲソ天がたまらない!安くてウマイ天ぷらが自慢「一由そば」蕎麦屋なのにインドカレーで絶賛されているお店「よもだそば」、さらには日本で最も狭いお店と言われる長野県塩尻市の「そば処 桔梗(ききょう)」など、美味しくて特徴のあるお店を数え上げればキリが無い。

そんな日本各地に存在している美味しい立ち食い蕎麦屋の中から、今回は、立ち食い蕎麦を愛する人々が最後にたどり着くと言われる絶品の駅そばを紹介したい。

それが、北海道の秘境・音威子府(おといねっぷ)駅にある「常盤軒(ときわけん)」だ。

・北海道で一番小さい村、そして、北海道という名前が産まれた村、それが音威子府(おといねっぷ)村
今回ご紹介する駅そばがある村、音威子府村は北海道で最も人口の少ない自治体であり、平成27年時点の人口は789人という非常に小さな村である。

JR北海道宗谷本線の特急停車駅であり、いまは廃線となってしまった天北線との接続駅で栄えたこともあるこの村は、北海道の内陸の気候特有の夏と冬の寒暖の差が大きく、道北にあたるため冬場はマイナス30度にもなるほどの豪雪地帯である。

そんな音威子府村に幕末期に1人の幕府からの探検家・松浦武四郎が訪れる。

この地で松浦武四郎は「アイヌは自分の国のことをカイと呼ぶ」と教えられ、後に「蝦夷地」を「北カイ(加伊)道」と呼ぶことを提案、今の北海道という我々が呼ぶ名前はこの場所でうまれたという、まさに北海道が命名された場所、それが音威子府なのだ。

・真っ黒い蕎麦、それが音威子府(おといねっぷ)そばの流儀
そんな歴史と厳しい自然の村、音威子府にあるのが、駅そばの最高峰と言われるほどウマい、音威子府そばだ。

なぜこの駅の蕎麦が最高峰であると言えるのかと言えば、まずは、この音威子府村がそば生産北限の地であるからだ。

そんな北限のそばを、しっかりとそばの実の甘皮まで使って製麺することで、野趣あふれる、そして無骨ながらもそばの香り高い味わいを楽しめる真っ黒い蕎麦となっているのだ。

町の名物である音威子府そばの魅力は、この小さな音威子府駅の風情も相まって、体の芯から心の奥底までしみいるようなウマさなのだ。

一番のオススメの天ぷらそば。

ゆっくりとダシの効いた濃いめのツユと、シンプルな天ぷらとが、無骨ながらもどっしりと主張する黒い蕎麦としっかりと調和しており、何杯でも味わいたいと思えるほどの味わいを強く感じてしまう。

・気をつけておきたい営業時間
実はこちらのお店、冬の期間(12月から3月末)は水曜日と木曜日がお休みとなっている。

そして残念なことだが、こちらの店主の西野さんの跡継ぎはまだ見つかっていないそうだ。

いつまでこの味を味わえるのか分からないのだが、この美味しい黒い蕎麦を味わえるというだけで、毎年のように訪れるというお客様もいるというほど。

単に美味しいというだけでなく、このお店の店主の笑顔と優しさも、このお店の蕎麦の味わいに大きく影響しているに違いない。

行き交うたくさんの人々に愛されてきた黒い駅そば、音威子府そば。

寒さの厳しい冬だからこそ、さらに美味しく感じるのは、旅情も含んでいるためかもしれない。

しかしながら、その場所でしんしんと降る雪のように積み重ねられてきた味わいは、この地の空気や音や匂いを感じながら味わうのが一番だ。

そんな旅情たっぷりの旅を味わうために、極寒の道北エリアを旅してみるのもいいかもしれない。

きっとそんな旅の途中に出会う人々は、凍てつくような寒さとは対照的に、心の奥底を優しく暖めてくれる笑顔で旅人を迎えてくれるにちがいないのだ。

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お店 常盤軒
住所 北海道中川郡音威子府村字音威子府 JR音威子府駅
営業時間 10:00 ~ 15:30
定休日 水曜日(※冬期は火曜日・水曜日が連休になります)