こんなお城見たことない!世界遺産の街シントラのペーナ宮殿はまるでテーマパーク

リスボン近郊の街シントラは、リスボンから日帰り可能なポルトガル有数の観光地。

かつてイギリスの詩人バイロンが「この世のエデン」とたたえた景観は、「シントラの文化的景観」として世界遺産に登録されています。

シントラに残る歴史的建造物のなかでも特に高い人気を集めているのが、標高529メートルの山頂にそびえるペーナ宮殿。

ドイツのノイシュバンシュタイン城の建設を命じたルードヴィヒ2世のいとこにあたる、フェルディナント2世の命により、ドイツから建築家を呼び寄せて建設が始まりました。しかし、完成したのはフェルディナント2世の死後、1885年のこと。当のフェルディナント2世は現在のようなペーナ宮殿の姿を目にすることはなかったのです。

対照的に、1908年に暗殺されたカルロス1世と王妃アメリアはほとんどの時間をこの宮殿で過ごしたといいます。

赤や青、黄など鮮やかに彩色されたペーナ宮殿は、おとぎ話に出てくるお城そのもの。「こんなお城が本当にあったなんて!」と思ってしまうほど、テーマパークのようにカラフルなお城です。

イスラム、ゴシック、ルネッサンス、マヌエルといったさまざまな建築様式が混然一体となったその姿は、とらえどころのない摩訶不思議な魅力を生んでいます。見る場所によってまったく違う建物に見えるなんとも奇妙な宮殿…

ここで王たちが実際に暮らしていたなんて信じられないほど、現実離れしているように感じませんか?

山頂に建っているだけあって、宮殿のテラスからの眺めは抜群。ムーアの城跡をはじめ、山に囲まれたシントラの風景が一望できます。

カラフルで大胆な建築ばかりに目がいってしまいがちですが、細部にも目を向けてみましょう。

イスラム建築を思わせるアーチ、マヌエル様式の影響を受けた細やかな彫刻、いたるところに見られるポルトガル伝統の装飾タイル・アズレージョの数々と、見どころ満載です。

ギリシャ神話に登場するポセイドンの息子で、海の守護神トリトンの彫刻。彫刻の精緻さと鬼のような形相があいまって、すさまじい迫力です。

外からのみならず、宮殿の内部も見学可能です。色鮮やかな16世紀のタイルで彩られたマヌエル様式の回廊や、ネオムーア様式の装飾が美しいベッドルームをはじめ、豪華な調度品と多様な装飾で彩られた内部も見ごたえ十分。かつての王たちの暮らしぶりが目に見えるようです。

世界の他のどのお城とも似ていない、独特の摩訶不思議な世界観をもつペーナ宮殿。ここに足を踏み入れたら最後、その奇妙な魅力にすっかりとらわれてしまうかもしれません。

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